HBOC遺伝学的検査が保険適用になることで遺伝カウンセラーの働き方は変わるのか。
皆さんこんにちは!
コロナショックですね。。
トイレットペーパーのために、朝から並んでる行列を見ると。
大衆心理はすごいなとおもいますね。
もう年度末ですが、皆さんはどうお過ごしですか?
4月から新しい生活が始まる人もいるでしょうし、忙しいなかでもワクワクしながら過ごしていきましょうね!
最近の話題です!
HBOCの遺伝学的検査が保険適用となる可能性が高いです。
これは、
乳がん・卵巣がん既発症者であれば、保険で遺伝学的検査を受けることができるようになるというものですが、
実際にいつから始まるのか(たぶん4月頃~)
対象の基準がどんなものか
どの検査会社の遺伝学的検査が保険適用になるのかは全く明確ではありません。
この、どの会社のものが保険適用となるかが結構大事といいますか。。
実際には、殆ど考えにくいことなんですが、
分析的妥当性の観点から言うと、検査・解析する施設によって、結果が異なってくる可能性というのが考えられます。
つまり
しっかりと、技術上で本当に解析できているかどうかというものです。
今の衛生検査所や米国の施設基準を満たしている施設であれば、技術上の課題で、このあたりが問題になることは、殆どないと思いますが、、
じゃあ、保険適用になる検査会社の結果は確実に間違いなくできているのか?
というと、100%の精度がその施設で保たれているとは、誰にも分からないです。
まあ、たぶん大丈夫なんだと思いますが。
そんなこんなで、
今のところ、ある1社が候補に挙がっております。
これは噂でしかありませんが、
それは、
BRACAnalysisで保険適用になっている
米国のミリアド社のものだけと言われています。
BRACAnalysis ↓
https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2018/2018033001.html
(BRACAnalysisの詳細については、ここでは説明しませんが、いつか書いているブログ記事があったと思うので、探してみてください!)
BRACAnalysisの時にも議論を呼んでいましたが、
じゃあなぜ、1つの会社だけだとダメなのかという点です。
上にも記載した、
分析的観点と
もう一つは
結果の評価の観点です。
この評価の観点というのは、
解析された結果が
「その会社だけの、データベースから評価された結果」
になる得るからです。
もしかすると、その会社以外の会社が持つデータベースでは結果の解釈が異なっている可能性があります。
そこが議論を呼んでいます。
保険で調べれるようになることは、凄く患者さんにとってメリットがあります。
HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)に関しては、事前に予防的な対策や検診のガイドラインが明確で、癌が発生することに対して、対応を取りやすいからです。
ただし、いつ発症するかは予測できないですし、発症しない人も多くいます。
そういった中で、自分で予防の対策が取れることは大きなメリットです。
確かに遺伝性であるかどうかを知ることになるかもしれませんが、
それ以上のメリットがあると考えられています。
米国では遺伝的背景によって差別や区別を禁止するジーナ法という法律があります。
日本では、その法律を作る議論すらまだまだ進んでいません。
(実際に、法律はまだ何もありません)
なので、遺伝的背景を知ることによる、家族への影響は、誰もが不安に感じますし、知りたくない人も沢山いると思います。
そんな時に遺伝カウンセラーが、寄り添っていくのですが、、、、、
そうなんです!そこです!
今回言いたかったのは、
遺伝カウンセラーの働き方、必要性、役割は変わってしまうのか?という点があります。
今までは、
遺伝学的検査が自費診療だったので、
遺伝カウンセリングという場で、
遺伝カウンセラーと臨床遺伝専門医が主に対応してきました。
保険診療内の外来では、混合診療となってしまうことと、遺伝カウンセリングは非常に時間が必要なので、遺伝診療部や遺伝子診療科というところが、自費の外来料金(遺伝カウンセリング)を設定して、患者さんに来てもらっていました。
ただ、、今回の保険適用で、BRCA遺伝子検査は、各診療科の外来で出検できるようになります。(自由にどこの病院でもというわけにはいかないと思うので、ある程度の制限はかかると考えられますが)
とすると、今まで、遺伝カウンセリングを受けた後に、自費の遺伝学的検査を受けていた流れから
各診療科で必要な患者さんには、外来で出せることができるようになるということです。
これは困った。
え、だって遺伝カウンセリングを受けに行かなくてもいいじゃん。
遺伝カウンセラーいらないじゃん。
と。。
いや、患者さんにとってはいいのだが、、
遺伝外来にわざわざ遺伝カウンセリング料金を支払って、来談する方が結構減ってしまうのではないかと想像しております。
今まで、HBOCについては、遺伝カウンセリングの数の中でも、ある程度の量を占めておりました。それが無くなるとなると、
必然的に遺伝カウンセリングの数も減り、遺伝カウンセラーは必要なくなってきたりするのでしょうか。。
これは分かりません。。
しかーし、全くいらないということはならないと思います。
必要性は必ずあります。
だって、外来の鬼忙しい中で、ちゃんと説明して、出検できる医師(遺伝医学のことをしっかりと理解している)なんて、ほんの一握りだからです!
しかも、日本で遺伝に関するリテラシー教育もままならないなかで
一般の患者さんは、ちんぷんかんぷんで漠然とした不安を多くの方が抱えることになると想像できます!
が。病院としては、できれば、良く分からない役職の職員を雇用したくない(経営的観点から見ると)
遺伝カウンセラーの採用枠数が、減っていくのではないか。。。とは危惧しております。
我々も外来で保険診療ができればいいのですが、そもそも、我々は認定資格ですし、
国家資格になれば、保険診療として遺伝カウンセリングを担える可能性はありますが、
今のところ、国家資格化の予定はなく。
なかなか苦しいところです。
ただ、これを機に、遺伝学的検査や、遺伝的背景についてのオープンな会話や世間の風潮になれば、
遺伝カウンセラーが一気に有名になってきて、働き方や地位の確立がしっかりとなされてくる可能性も考えられるわけで。
遺伝学的検査が保険適用になっていくのは概ねいい方向に働くんじゃないかなーと思います。
始まってみないと何とも分かりませんが。
働き方は変わってくるのでしょうか。
将来性はどうなんでしょうか。
混沌とした、日本社会の中で、
「遺伝」という誰にでも関わる
割に、
誰も知らない分野で。
どうなんていくんでしょうか。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。(^^)/